奥田民生「サテスハクション」と「タックスマン」
新譜をチェックしていてまず目に留まったのが、奥田民生の『サテスハクション』というシングルだった。
2020年6月17日発売だったそうである。
これはローリング・ストーンズに対するオマージュなのかな?
当然ながら、瞬間的にそう思った。
早速曲を聴いてみる。
いきなりファズをかましたギターのリフで曲が始まった。
お、やっぱりストーンズじゃん!
「サティスファクション」じゃん!
そして曲を聴きすすめる。
奥田民生お得意のロックンロールナンバーといった趣き。
けど、あまり「サティスファクション」っぽさはない。
曲の最後の方にやっと出てくる「サテスハクション」というフレーズくらいなものか。
あるいは、曲全体のグルーヴ感を寄せているのかな?とも感じなくはないけど、どちらかと言えばそれはこじつけだろう。
ここで「サテスハクション」という曲について調べてみる。
「ハクション大魔王2020」のテーマ曲だという。
インタビュー記事などを読むと、「サティスファクション」へのオマージュではないことも分かった。
ギターのファズは「サティスファクション」からきているのではなくて、テレビアニメ『ハクション大魔王』の元々のヴァージョンで使われていたテーマ曲「ハクション大魔王の歌」からきているとのことだった。
「サテスハクション」というタイトルは、レコーディングで「ハクション」と歌っている時にふと思いついたという。
「サテスハクション」というタイトルを持ってくると全体の収まりがよくて、イントロのギターにも二重の意味を持たせられるし、結果的にパロディになった、というのがコトの真相のようである。
奥田民生|ニューシングル『サテスハクション』6月17日発売|購入先着特典クリアファイル|アニメ「ハクション大魔王2020」OPテーマ - TOWER RECORDS ONLINE
ここで、元々のテーマ曲、「ハクション大魔王の歌」を聴いてみる。
奥田民生が先のインタビュー記事で絶賛していたので気になったからだ。
そうしたら、これがまた本当に秀逸だった。
コブシの効いた歌と、ビートルズの「タックスマン」を彷彿とさせるようなファンキーでカッコいいバックとの対比がたまらない。
そして、ものはついでだと、『ハクション大魔王』のテレビアニメを観てみることにした。
YouTubeに、1969年に放送された第一話があったので。
そうしたら、これがまた秀逸なアニメだった。
細かいことは置いておくとして、なんというかサイケデリックなアニメだと、僕は思った。
と、ここでビートルズが出てきたので、最後にこじつけでもう一つ。
奥田民生「サテスハクション」に戻るが、イントロやアウトロなどに鍵盤で「ファッファー」というようなフレーズが入っている。
これが「タックスマーン」と聴こえてくる。
もしやビートルズへのオマージュもまぎれこませているんでは?
というのは考えすぎだろうか?
なんだか不思議な気持ちになる
8月19日に発売される、Mr.ワリコメッツのニューアルバム『星の海』。
ディスクユニオンで購入していただくと、「★ディスクユニオンオリジナル特典"ワリコメッツGEAR"付き★ワリコメッツの2ndフルアルバム『星の海』が10倍楽しくなる本!」という特典が付く。
今日、その原稿を書いていた。
自分割り当て分を書いた。
レコーディング時のことを思い出しながら。
書いていると、忘れてしまっていたことを思い出したりする。
あるいは、ふわふわと形が曖昧だったものが、書くことによってだんだん形作られていくような感じになる。
原稿がそのまま採用されるかどうかは分からない。
いや、どのみち推敲は必要だろう。
ともかく、書くのに思いのほか時間がかかった。
こうしたちょっとした特典にも、大変な労力がかかっている。
それにしても、こうして書いてレコーディングのことを思い返すと、やはり充実したレコーディングだったなぁ、と思う。
挫折しそうにもなったけど、ともかく進むことになって、まだ大変な渦中にはあるけど、発売に向けて多くの人が動いてくれてもいる。
なんだか不思議な気持ちになる。
そして、いつの日か特典が皆さまの手元に届いて読んでくれている姿を想像してみる。
そしてやはり、なんとも言えない不思議な気持ちになる。
発売日が待ち遠しい。
そうだ、新譜を聴いてみよう
しんぷ【新譜】
新しい曲譜。また、新しく発売されたレコード。「今月のー」
(大辞林)
そうだ、新譜を聴いてみよう。
ふと、そう思った。
かなり長いこと、新譜をチェックする習慣をなくしていた。
昔の音楽を好きになってどんどん掘り下げているうちに、新しく発売される音楽に対する興味が薄くなっていた。
確かに、音楽のルーツをたどって掘り下げていくことには、意味があった。
というか、豊かで広大な世界が広がっているだけに、掘り下げたりないところはまだまだたくさんある。
けれど、新しく発売される音楽にもそろそろ興味を持ってもいいのではないか。
どういう風の吹きまわしか、「それも面白そうだな」と思ったのである。
どこから手をつけていいのか、それはまだ分からない。
情報が多すぎるのだ。
日本のものか。
外国のものか。
一口に外国と言っても、どこの国のものか。
それに、新人、中堅、ベテラン、どのあたりを狙っていくのか?
その点でもだいぶ様相が異なる。
新譜とは言っても大御所のものだとルーツな音楽に近くなってくることもあるし、未発表音源やリマスターなど古い音源を使った新譜だってあり得る。
うむ。
ひとまずは、あまり区別はつけないでいこう。
まずは、ただ何も考えず、新譜をチェックすることから始めよう。
ロックンロール・ギターの魅力の秘密は、、、
50年代初めからチェスの経営者レナード・チェスと密な関係を持ちながら次々と同社のレコードを自分のラジオ番組でオンエアしヒットさせていたフリードは、ベリーのデビュー盤もかけまくった。(『ミュージック・マガジン[増刊] ミュージック・ガイドブック』p36)
白人リスナー向けにリズム&ブルースをかけまくったアラン・フリードは、ロックンロール誕生の最大の功労者とも言われる。
そして、ロックンロールの創始者のうちの1人と言われるチャック・ベリーのデビューシングル「メイベリーン」もまた、そのアラン・フリードの手によってラジオで流されまくった。
全米ポップ・チャートでも5位を記録した。
Maybellene, a song by Chuck Berry on Spotify
チャック・ベリーと聞いてロックンロールを思い浮かべない者はいない。
チャック・ベリーはロックンロールの代名詞だ。
チャック・ベリー=ロックンロール。
ロックンロール=チャック・ベリー。
そう言ってしまっても過言ではないだろう。
いや、言い過ぎか。
ロックンロール=チャック・ベリーを認めてしまったら、他のタイプのロックンロールが成り立たなくなってしまう。
まぁ、細かいことは置いておこう。
チャック・ベリーの魅力のうちのその一つは、そのギター・プレイにあることは間違いないだろう。
チャック・ベリー=ロックンロール・ギター。
ロックンロール・ギター=チャック・ベリー。
これは先ほどの「ロックンロール=チャック・ベリー」よりは成り立つ命題ではなかろうか。
デビュー曲「メイベリーン」も、チャック・ベリーのギター・プレイから曲が始まる。
ちなみに、セカンド・シングル「Thirty Days」もギター・プレイから始まるのだけど、これが「メイベリーン」の始まりにそっくり。
いや、もしかして同じじゃないのか?と思ってしまうくらいだ。
「メイベリーン」=「Thirty Days」。
「T、、、いや、しつこいからやめにしよう。
ちなみに、曲調も似ている。
Thirty Days (To Come Back Home), a song by Chuck Berry on Spotify
ギターソロを聴き比べてみるのも面白いかもしれない。
こちらは、2曲それぞれで違う雰囲気のギターソロとなっている。
ついでに、YouTubeにあがっている昔のライヴ映像に「メイベリーン」があって、そこでのギターソロもかっこ良いのでリンクを貼っておく。
ギターソロとは直接関係ないが、チャック・ベリーの首の動きにぶったまげた。
ロックンロール・ギターの魅力の秘密は、そんなところにもあるように思える。
ポールらの参加したヴァーチャル・セッションを観て
とあるイベントの一環として、ポール・マッカートニー、エルヴィス・コステロ、デイヴ・グロールら豪華面子によるヴァーチャル・セッションが行われたという。
ポール・マッカートニー、エルヴィス・コステロ、デイヴ・グロールらがヴァーチャル・セッションで「聖者の行進」披露 ポールはトランペット演奏 - amass
映像が公開されているので早速観てみる。
ポール・マッカートニーの掛け声で動画が始まる。
そして、ドラムとタンバリンのリズムに導かれるようにして音楽も始まり、ポールのトランペットでいざ本番へ!と流れていく。
曲は「聖者の行進」。
ニューオーリンズを代表するソウル・シンガー、アーマ・トーマスが歌い出す。
ここまで観て、もうたまらない気持ちになる。
大好きなアーマ・トーマスの現在の姿を拝めるなんて!
しかも歌付きである。
ところで、アーマ・トーマスと聞くと、いつもボ・ガンボスのライヴ盤でのMCを思い出す。
「ニューオーリンズにアーマ・トーマスという人がいまして」と始まる感動的なMC。
話がそれたので元に戻すと、このヴァーチャル・セッションはなんとも楽しい動画だ。
他にも、ポールのトランペットを吹く姿も嬉しいし、淡々とタンバリンを振るデイヴ・グロールには「なんて贅沢なんだ!」と思いつつ微笑ましくなった。
途中、ポール・マッカートニーも歌うのだけど、「あれっ、こんな声してたっけなぁ」なんて思ったりもした。
それにしても、世はやはりリモートの時代。
こんなところにもリモートワークが取り入れられている。
集まらなくてもできる仕事は極力リモートへ。
それで仕事の質が落ちるのでなければ、その方が効率が良いし、余計な移動時間もかからないし、スケジュール調整もしやすいしで、より充実した作品や、より豊かな暮らしにつながっていくだろう。
それは音楽の世界でもそうなのだなぁ、集まるのが当たり前であった「バンド演奏」でもそうなのだなぁ、と改めて思わされた。
そもそも「バンド」って「集団」を意味する。
もちろん、一箇所に集まらなければできないこともある。
そこは状況に応じて、臨機応変にしていけばいい。
リモートの可能性は今後もどんどん広がっていくだろう。
いろんな意味で心踊る動画であった。
今日は何を聴こうかな?
久しぶりに朝一で音楽を聴けた。
この時間は至福の時間で、「今日は何を聴こうかな?あれにしようかな?これにしようかな?」と迷う時間もまた喜ばしからずや、といった趣きである。
嬉しい悩みと言うか。
この習慣で始められる日々は調子がいいと言えるし、この習慣が途切れがちな時は調子を落としていると言える。
今朝のチョイスは、ザ・コーズというドゥーワップ・グループ。
「シュ・ブーン(Sh-Boom)」というヒット曲が有名で、全米ポップ・チャートで最高5位にランクインし、白人市場でも受け入れられた最初のドゥーワップ、あるいはロックンロールのレコードとみなされたりもするようだ。(『ミュージック・ガイドブック』、ウィキペディアより)
確かに、親しみやすくエッヂも効いて、ヒットしたことにもうなずける。
Sh-Boom, a song by The Chords on Spotify
そんなこんなで、ロックの歴史をたどる旅にも、そろそろまた戻ってこようと思っている。
2020年6月現在、とあるバンドの、とあるライヴバーの、等身大な状況を記しておく
昨夜、ライヴしてきた。
ライヴハウスでライヴしてきた。
良いか悪いか、それは分からない。
というか、良い悪いの問題ではないだろう。
ただ、僕らのリアルが、そこにはあった。
リアルな「生」があった。
人生の「生」であり、生音の「生」であり、新しい生活様式の「生」であり、そんな諸々を含んだ「生」があった。
検温。
アルコール消毒。
マスク着用。
着席。
ソーシャルディスタンス。
頻繁な換気。
ステージとフロアは距離を取り、部分的にビニールシートも貼った。
検討の結果、ライヴ中、演者のマスクは外させてもらったが。
ともかく、各種ガイドラインを参照しながら、あとは自らの良識を鑑みながらの、ライヴの開催であった。
いろんな制約があった。
解放感でいっぱいというわけにはいかなかった。
それでも、とても気持ちのいい「場」だったように思う。
集まった方々からも、なんとも言えない喜びの気持ちが伝わってきた。
このような状況にもかかわらず集まっていただいた皆さまには感謝の気持ちでいっぱいだし、もはやここまできたら同志だとしか思えない。
うむ、勝手なことを書いてるなぁ。
これからまた、どのように推移していくかは分からない。
ライヴという場も、感染症も、社会も、経済も。
いろいろ試して失敗を繰り返しながら、あるべきところに落ち着くのだろうか?
ひとまず、2020年6月現在、とあるバンドの、とあるライヴバーの、等身大な状況を記しておく。