「ロックンロール」の歴史は繋がっている、生まれるずっと前から
黒人による音楽はかつて、黒人のための音楽であり、聴衆は当然黒人だった。
白人による音楽はかつて、白人のためのものであり、聴衆はやはり白人だった。
やがてその垣根が取り払われていく。
その突破口となったのは、白人の若者が黒人のリズム&ブルース(=R&B)を聴くようになったことだ。
その流れに貢献したのは、当時のラジオDJたち。
中でもその最大の功労者と言われているのがアラン・フリードという人で、白人リスナーに向けてR&Bをかけまくった最初の白人DJだと言われている。
そして、「ロックンロール」という呼び名を広めて世に定着させたのもこの人だと言われる。
そう、アラン・フリードのDJから「ロックンロール」の歴史が始まったのだ。
あくまで一側面の話ではある、ということを注記しておく。
Spotifyに『Alan Freed's Favorite Chart Doo Wop Records』というアルバムがある。
アラン・フリードが「ロックンロール」と呼んでいたタイプの音楽には、後にドゥーワップと言われるようになる音楽が含まれていた。
僕はドゥーワップについてはあまり知らないので、ひとまずこのアルバムを聴いてみることにした。
収録されているのはThe Charms、The Champions、The Evergreens、The Tru−Tones、Delmirasというグループたち。
聴いていて思ったことがある。
それは、「ロックンロール」はやはり、突然変異で生まれたものではないのだということ。
「ロックンロール」の歴史は繋がっているのだ。
それは「ロックンロール」が生まれるずっと以前から。
黒人の音楽がなければ、今の「ロックンロール」は存在しない。
ここで改めて敬意を表したい。