ボブ・ディランが強く訴えかけてくる
ボブ・ディランが強く訴えかけてくる。
なんだか分からないが、なにかを強く訴えかけてくる。
ボブ・ディランはずっと前から聴いていた。
だがそれは義務感というか、やはり聴いておかないとまずいよね、ということで聴いていたような気がする。
ボブ・ディランの魅力はやはり歌詞にあって、英語が分からなければボブ・ディランの本当の魅力は分からないのだ、などと勝手に決め込んでさえいた。
だが、どうやらそうでもないようだ。
もちろん、ボブ・ディランの音楽は時期によって違う。
活動時期によって歌も曲もバックの演奏も、全然違う。
僕が最近聴いているのは1960年代の中頃、ディランがフォークを離れ、ロックに接近した時期だ。
アルバムで言うと『Highway 61 Revisited』や『Blonde On Blonde』という、いわゆる名盤中の名盤であり、ボブ・ディランのキャリアの中でも代表作中の代表作である。
あいかわらず、僕は英語が分からない。
けれど、以前とは違って、魂の奥底を鷲掴みにされるような何かを、今感じている。
特に『Blonde On Blonde』収録の曲たちに。
それがなぜなのかは、分からない。
それがなになのかも、残念ながら分からない。
ただ、ボブ・ディランの声を、言葉を、そしてバックのオルガンやスネアの音を聴いていると、なにか強く訴えかけてくるものがあるということだけは分かっている。