ポップ・ミュージックと時代背景
全8話中6話まで進んだ。
ライヴ活動が休止になり、しばらくの沈黙後、アルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』が出た時までだ。
『アンソロジー』の中で、ポールは『サージェント・ペパーズ』の制作過程を嬉々として話す。
ところが、リンゴは出番が少なくて退屈だったと言う。
ジョージは、仕事としてやっていただけで、興味はインドに向いていたと言う。
ジョンは、当時は良いと思ったが、後々聴くと名盤なんかじゃないと言う。
世間一般でも『サージェント・ペパーズ』は評価が分かれるアルバムのような気がする。
知り合いとビートルズの話になった時に、『サージェント・ペパーズ』を好きなアルバムの1番に挙げる人は少ない。
『アンソロジー』の中で、ジョージ・マーティンは言う。
『サージェント・ペパーズ』は時代の空気を象徴するアルバムだったと。
フラワー・ムーブメント時代の若者の空気を代弁していたのだと。
「歌は世につれ世は歌につれ」という言葉があるように、僕らが関わるポップ・ミュージックの世界は、時代背景とは切っても切り離せない。
むしろ、時代を反映しないポップ・ミュージックなんてつまらない、と言ってしまっていいのかもしれない。
ポップ・ミュージックを形作るのは、今を生きる私たちである。
今という時代背景の中にいる、私であり、あなたである。
その時間背景を切り離してしまったとしたら。
「あなたは誰ですか?」
ところで、2020年、この混乱の時代を象徴するポップ・ミュージックは生まれるのだろうか?
それは時間が経たなければ分からないことかもしれない。
話を日本に限定すれば、「うちで踊ろう」になったりするのだろうか?
だとしたら、なんだかとても悲しい。