この辺で我慢してくださいという程度の音楽
音楽を聴き、本を読む。
やることもないので、そんな日々が続いている。
先行きは不透明だし、政府も頼りになるようには見えないので不安だが、この生活自体は悪くない。
今はじっとしているしかないのだし。
小泉文夫著『音楽の根源にあるもの』(平凡社ライブラリー)という本を読んだ。
日本の音楽とアジアの音楽。
言葉と音楽。
日本語とリズム。
わらべうたと音楽の起源。
興味深い話が尽きないし、鋭い考察にはっとさせられる。
たとえばこうだ。
平均律というものは、自由に転調をするために便宜的に考え出したものなので、本当は音が狂っているんだけれど、一応平均点のこのあたりで我慢してくださいという妥協した音なんです。そういう音でオーケストラを演奏したり、コーラスをうたったりするのは、同じようにこの辺で我慢してくださいという程度の音楽です。(p210)
妥協した音か。
便利さと豊かさとの間には、綱引きのような関係があるのかもしれない。
サブスクで音楽を聴くのは便利だけど音の豊かさが失われてしまう、みたいな。
それにしても「この辺で我慢してくださいという程度の音楽」だものな。
なかなかキツい言葉ではある。