それでも音楽の話をしよう

音楽の話題を中心に、アイデア、ひらめき、日常を書き記していきます

ライヴで観られる、脳の働き

古屋晋一著『ピアニストの脳を科学する』という本を読んでいる。

「ピアニストの脳と身体が、いったいどのような働きをしているのか、さまざまな実験と調査を駆使して探求した本」(「はじめに」より)だ。

超絶技巧を可能にするピアニストの脳と身体、耳から入った情報を脳を経由させ指の動きにつなげるピアニスト特有の神経経路、膨大な数の音符を実際に演奏するのに必要な記憶力、初見演奏に必要な能力、練習のしすぎによって逆説的に起こる故障など、その話題は多岐にわたる。

ピアニストの脳と身体に焦点を当てた本ではあるが、ピアニストに限らず全ての演奏家に当てはまる話であろう。

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先日、とあるライヴで観た光景。

ドラマーを観ていたら、ある一つの特徴に気づいた。

演奏中、次に叩くであろう太鼓やシンバルをよく見る。

叩く瞬間も、その太鼓をよく見て叩いているのだけど、叩く前からその準備は始まっていて、そのドラマーの視線を追っていると次にどの太鼓なりシンバルなりを叩くのかが予想できるほどだった。

その光景を見ていて、それはまるでドラマーの演奏を見ていると同時にドラマーの脳の中を見ているようだと思った。

 

音楽において密接に繋がった脳と身体。

生のライヴを観るということは、オモテに表れた身体の動きを通じて、そのウラにある脳の働きを観ることでもあるのだ。

うーむ。

逆に考えると、自分が演奏中にもそのような観察をされうるということでもある。

恥ずかしさ半分、諦めての開きなおり半分。