高橋まこと『スネア』
ドラムを叩いている時だけは一心不乱、イヤなことなどすべて吹っ飛んで無我夢中で打ち込めた。寝食を忘れて心魂を傾けるとはまさにこのことであり、休日に(中略)日がな一日ドラムを叩きっぱなしだったこともざらにある。
高橋まこと著『スネア』を読み終える。
上記は、そこからの引用。
言わずと知れた、伝説的な日本のロックバンド、BOØWYのドラマーである。
同じくドラマーである身からして、学ぶべきところの多い本だった。
特に印象に残るのは、二点。
一つは、影響を受けた音楽について。
少年時代、ベンチャーズとビートルズからもたらされた衝撃を語る。
ドラマーたるもの、やはりメル・テイラー(ベンチャーズ)とリンゴ・スター(ビートルズ)は避けて通れない。
もう一つは、BOØWYが新宿ロフトに出演していた時代、ステージに立つ時はいつも「とにかく他のどのバンドよりも俺たちは最高なんだ、絶対に負けるわけがない」、「負けてたまるか!」と闘争心を持っていたと言う。
いや、それは今でも変わらないという。
和気あいあい、平和で楽しいステージもいいけれど、「絶対に負けない」という、ヒリヒリとした緊張感のあるステージもいいもんだ。
考え方はいろいろあるけれど、そういうところが表現であって、それはステージに正直に現れてしまうところだろう。
もっと時間が経って、その間もちろん、いろいろステージを経験して、それからまた読みなおしたい本だな、と思う。